心に、素直に。

日々の備忘録

星を見に行った夜のこと

5人で車に乗り込み

標高1900mのところまで行く。

 

そこはひらけた駐車場で空がよく見える場所。

 

以前行った時は雲の中だった。

霧の世界。

季節が冬になる前の風は

強く冷たい。

とてもいられなかった。

 

街の明かりも見えなかった。

 

そして今は春。

今日はどうだろう。

 

降りたら

今日も雲の中だった。

 

車のライトが雲に当たって

向こうの方から他の車が来るのが分かる。

 

雲の輪郭がぼんやり見えるのは

街の明かりが暗い空を照らしてるから。

 

 

風が強くて

雲の中でも空に一瞬隙間が出来る。

やっと少し星が見えた。

 

星がゆらゆら動いて見えるのは

早く流れる雲のせい。

 

でも、もうここから見るのは諦めて

帰ろう。

 

それから少し下ったところで

走る車の中から空を見上げた。

 

星が見える!

やっとその姿を眺められる。

木のシルエットの向こう側。

 

しばらくするとまた雲が出てきた。

 

空に穴があいたように、徐々に狭くなる星空を見上げて

みんなが一斉の声をあげた。

 

流れ星だった。

 

星が見えるからと車を止めてもらったのは私だったけれど

 

私だけ見えなかった。

 

みんなおかしくて笑っていた。

私も笑っていた。

 

その時

宮沢賢治の〝雨ニモマケズ〟で始まる詩を思い出していた。

 

私はあの詩が理解できなかった。

 

みんなからデクノボーと呼ばれ

てもいいなんて、

褒められないなんて、

 

そんなの嫌われ者だと思っていたから。

 

 

でも、今日星を見に行ったあの数時間で感じたことは

 

宮沢賢治の残したあの詩の素晴らしさを教えてくれた気がした。

 

 

 

   雨ニモマケズ

   風ニモマケズ

   雪ニモ夏ノ暑サニモマケヌ

   丈夫ナカラダヲモチ

   慾ハナク

   決シテ瞋ラズ

   イツモシヅカニワラッテヰル

   一日ニ玄米四合ト

   味噌ト少シノ野菜ヲタベ

   アラユルコトヲ

   ジブンヲカンジョウニ入レズニ

   ヨクミキキシワカリ

   ソシテワスレズ

   野原ノ松ノ林ノ蔭ノ

   小サナ萓ブキノ小屋ニヰテ

   東ニ病気ノコドモアレバ

   行ッテ看病シテヤリ

   西ニツカレタ母アレバ

   行ッテソノ稲ノ束ヲ負ヒ

   南ニ死ニサウナ人アレバ

   行ッテコハガラナクテモイヽトイヒ

   北ニケンクヮヤソショウガアレバ

   ツマラナイカラヤメロトイヒ

   ヒデリノトキハナミダヲナガシ

   サムサノナツハオロオロアルキ

   ミンナニデクノボートヨバレ

   ホメラレモセズ

   クニモサレズ

   サウイフモノニ

   ワタシハナリタイ